「PCの入れ替えが必要なのに、見積もりを見て価格の高さに驚いた」という企業の方もいるのではないでしょうか。現在、歴史的な円安やAI需要によるメモリ不足などが重なり、法人向けPCの調達コストはかつてなく上昇しています。
ただし、予算が厳しいからといって初期費用重視で低スペックのPCに妥協するのは大変危険です。日々の業務フリーズや早期買い替えによって、結果的に企業の総保有コストを跳ね上げてしまうためです。
本記事では、パソコン価格が高騰している原因と今後の予想を中心に予算課題を解決する賢い調達方法まで詳しく解説します。価格高騰に対応しつつ、自社の業務に必要なスペックのPCを低コストで導入しましょう。
パソコン価格高騰の現状:法人向けPCはどれくらい値上がりした?
現在、国内PC市場全体の出荷金額は大きく伸びており、平均単価も上昇傾向にあります。JEITAの統計によると、2024年度の国内PC市場は出荷金額と台数の双方が以下のように前年を大きく上回る結果となりました。
- 2023年度実績:出荷台数6,682千台、出荷金額7,667億円(平均単価の近似値は約11.4万円)
- 2024年度実績:出荷台数8,307千台、出荷金額9,682億円(平均単価の近似値は約11.6万円)
- 前年比推移:台数が+24.3%、金額が+26.3%、単価の近似値は約+1.6%
特にノートPCに限定すると約2.6%の単価上昇となり、同協会は「法人向けが大幅に増加した」と明記しています。製品ごとのスペック差はあるものの、需要の中心である法人向けモデルで実質的な価格の押し上げが起きていると判断できます。
参考:
2025年3月パーソナルコンピュータ国内出荷実績|JEITA
2024年度パーソナルコンピュータ国内出荷実績|JEITA
2023年度パーソナルコンピュータ国内出荷実績|JEITA
なぜ今パソコンが高いのか?価格高騰を招く主な理由
パソコンの価格高騰を招いている主な理由として、以下の3つが挙げられます。
- 歴史的な円安による輸入・部材コストの増加
- 生成AI普及に伴う半導体(メモリ)の供給不足
- Windows 10のサポート終了による需要急増
これらの要因が同時期に重なっているため、メーカー側も原価上昇を販売価格へ転嫁せざるを得ない状況が続いています。
歴史的な円安による輸入・部材コストの増加
日本国内で流通するPC本体や内部パーツの大半は輸入に依存しており、円安が直接的な調達コストの増大を招いています。
日本銀行の企業物価指数(2025年12月)によると、円ベースの輸入物価指数は前月比1.1%の上昇を示しました。さらに同月の輸出物価指数も1.7%上昇しており、為替相場の変動が製品価格に転嫁されやすい構造が浮き彫りになっています。
また、財務省の速報(2026年1月)によれば、ドル・円相場の月中平均が156.71円で推移しており、円安水準が継続しています。円安による電子部材の輸入価格上昇が原価を圧迫しており、メーカー側も販売価格へ転嫁せざるを得ない状況です。
生成AI普及に伴う半導体(メモリ)の供給不足
生成AI市場の急拡大により、半導体メーカーが高付加価値なAI向けメモリの生産を優先しており、一般PC向けのメモリ供給が逼迫しています。
Micron Technology社の発表によれば、AI向け広帯域メモリの市場規模は2028年までに約1,000億ドルへ拡大する見通しです。ほかにも、ベンダー各社の最新レポートをひも解くとAI需要がPC市場へ及ぼす影響の強さが以下の情報から確認できます。
- Samsung/SK hynix(2026年1月):AIおよびサーバ向け高付加価値メモリの需要が継続増加と発表
- TrendForce(2026年1月〜3月):一般向けDRAM・NANDの価格上昇、ノートPC向け供給逼迫を指摘
限られた生産ラインがAI向けに割り当てられるため、一般法人向けPCの部材コストを高止まりさせる構造は当面続く見込みです。
参考:
Financial results FQ1 2026|Micron Technology
Samsung Electronics Announces Fourth Quarter and FY 2025 Results|Samsung
Memory Makers Prioritize Server Applications, Driving Across-the-Board Price Increases in 1Q26, Says TrendForce|TrendForce
Rising Memory and CPU Prices Could Push Mainstream Notebook Prices Up by Nearly 40%, Says TrendForce|TrendForce
Windows 10のサポート終了による需要急増
2025年10月14日のWindows 10サポート終了に向けた、企業の大規模なPC買い替え需要が市場価格を底上げしました。
調査会社Gartnerによると、このWindowsの更新サイクルが主因となり、2025年第3四半期の世界PC出荷台数は前年同期比で8.2%増を記録しました。
日本国内でも、JEITAの統計で2024年度の法人需要が大幅増であったことが裏付けられています。
また、昨今は要求スペックの高い機種が選ばれやすく、平均調達単価を引き上げる補助的な要因となっています。
参考:
Gartner Says Worldwide PC Shipments Grew 8.2% in Third Quarter of 2025|Gartner
2025年3月パーソナルコンピュータ国内出荷実績|JEITA
パソコン価格の高騰はいつまで続く?今後の見通し
JEITAが2026年1月に発表したレポートでは法人向けの買い替え需要が一巡し、需要側の上昇圧力はやや落ち着きを見せていると説明されています。ただし、今後を左右する複数の要因を整理すると、以下のように単なる需要減だけでは価格が下がりにくい現状が見えてきます。
- メモリ部材価格:AI向け生産優先により供給逼迫が継続し、原価上昇要因として価格を高止まりさせる
- 為替:150円台後半の水準で推移しており、円ベースの輸入調達コストの削減は困難
2025年のWindows 10サポート終了に伴う需要急増で生じた品薄状態は、今後徐々に解消へ向かう見込みです。しかし、メーカー側の製造コスト自体は下がっていないためしばらくは価格高騰傾向が続く予想です。
コスト削減目的の低スペックPCへの妥協がもたらす危険性
近年の価格高騰により、コスト削減目的で低スペックPCに妥協する企業もありますが、大きく分けて2つのリスクが存在します。
- 処理遅延の蓄積による人件費の増大
- 低スペックによる業務の停滞と早期買い替えのリスク
目先の安さにとらわれず、数年間の運用期間全体を見据えた投資対効果の視点で適正なスペックを見極めることが重要です。
処理遅延の蓄積による人件費の増大
パソコンの処理遅延は1回あたり数秒でも、全従業員の稼働日で計算すると膨大な人件費の無駄として経営を圧迫します。「ほんの数秒待つだけ」と軽視されがちですが、実際の業務現場に目を向けると次のような悪影響が懸念されます。
- 1日あたりの微小な待機時間が年間を通じた人件費のロスへ直結する
- システム応答の遅延が従業員の集中力を削ぎ、モチベーションを低下させる
- 会議ツールやブラウザなど複数アプリ併用時にフリーズが頻発する
実務でさらにExcelなどを並行利用すれば、最低構成の端末だと動作が遅延するリスクが高まり、人件費が増加し続けます。
低スペックによる業務の停滞と早期買い替えのリスク
現在の業務が回る水準のPCであっても将来的なOSやアプリの更新に追随できず、想定より早く買い替えを迫られるリスクがあります。目先の導入コストを優先して要件ギリギリのパソコンを選ぶと、次のような形で企業全体を脅かす課題へと発展しかねません。
- サポート終了による脆弱性の放置とサイバー攻撃の標的化のリスクが高まる
- 業務アプリの要求スペックの上昇に対応できず、動作が著しく遅延する
- 短い周期での買い替えに伴う、キッティング(初期設定)やデータ消去の負担が増加する
初期費用を抑えるために安価なパソコンを短い周期で入れ替える運用は、台帳更新や再設定などの間接工数を増やしてしまいます。パソコンのライフサイクル全体を見据えなければ、IT部門の負担を重くする結果を招く点に注意が必要です。
企業でパソコン購入の稟議を経営層に通す説得のコツ
経営層への稟議では端末価格だけではなく、生産性・セキュリティ・運用工数を含めた費用対効果で説明する必要があります。企業の利益に直結する不可欠なIT投資として経営陣の納得を引き出すためには、以下の具体的なアプローチを盛り込むのが効果的です。
- PCの処理遅延による人件費のロスを具体的な金額へ定量的に換算する
- 古いパソコンを使い続けることによるセキュリティ対応の遅れを回避する
- 3〜5年間の総保有コストを比較する
単なる備品購入ではなく、業務継続と生産性向上のための基盤整備であると経営層に認識させることがスムーズな決裁へとつながります。
法人PCの調達方法は購入・リース・レンタルの3つ
法人PCの調達には、主に購入・リース・レンタルの3つの手法が存在します。
- 購入:企業が代金を全額支払い、PCを自社の固定資産として長期保有する方法
- リース:リース会社が企業に代わって希望するPCを購入し、長期間にわたって月額料金で貸し出す方法
- レンタル:レンタル会社が保有しているパソコンの中から選び、短期から中期で借りる方法
企業がPCを調達する際は、自社の予算状況や利用期間に応じて適切な方法を選択しなければなりません。長期間同じ端末を利用して総額を抑えるなら購入が適していますが、初期費用を抑えたい場合にはリースやレンタルが有効です。
一時的な人員増減などに柔軟に対応したい場合は即座に調達できるレンタルを選ぶなど、状況に応じた使い分けが求められます。
予算の課題を解決するなら「テクノレント」の法人向けPCレンタルがおすすめ
短期プロジェクトやパソコンの価格高騰で購入をためらっている企業には、運用負荷を軽減できるPCレンタルサービスの活用が適しています。テクノレントの法人向けPCレンタルは、短期から長期まで多彩なニーズに対応するサービスを展開しています。
パソコンの貸し出しだけでなく、以下のような企業のIT担当者が抱える周辺業務の負担を減らすサービスを提供している点も特徴です。
- 万が一の機器故障時に、業務が停止してしまう期間を最小限に防ぐ代替機サービス
- 入庫・検品、PC管理台帳の提供、返却時のデータ消去・廃棄も対応
購入時の初期費用だけでなく、キッティングや廃棄にかかるコストを削減できる点はリソースが不足しがちな企業にとって大きなメリットです。パソコンの価格高騰で購入を悩んでいる企業は、ぜひテクノレントの法人向けPCレンタルサービスをご検討ください。
パソコンの価格高騰に対応すべくスペック選びと調達手法の見直しを意識しよう
法人向けPCは円安やメモリ不足、Windows 10サポート終了の特需が重なり、価格の高騰が続いています。
ただし、「予算がないから」と低スペックなPCで妥協するのは危険です。日々の処理遅延による人件費のロスや早期買い替えのリスクにより、結果的に総保有コストが増大してしまうためです。
経営層へ稟議を通す際は、初期費用ではなく生産性の向上や運用工数の削減などの費用対効果で説得することが成功のコツです。予算や運用負荷に課題がある場合は、法人向けPCレンタルの活用も視野に入れ、自社に最適なIT投資を実現しましょう。

