「若い社員はMacを希望するが、社内の基幹システムはWindowsしか動かない……」このような悩みは、企業のIT担当者にとってコストと現場の声の板挟みになる終わりのない難問です。
かつては「ビジネス=Windows」が常識でしたが、今は部署ごと、業務用途ごとに使い分けるのが理想であり、無理に統一する必要はありません。
本記事では、MacとWindowsの違いを中心に各OSのメリット・デメリットを詳しく解説します。本記事を参考に、自社の生産性を最大化できるOSを選定しましょう。
MacとWindowsをビジネスで選ぶなら適材適所が正解
MacとWindowsをビジネスで選ぶなら、部署ごとにOSを使い分ける適材適所の運用が合理的です。かつてはPC管理の都合上、全社でWindowsに統一しているケースが一般的でした。
しかし、現在はクラウドサービスの普及でOSに依存しないアプリ・システムが増加しました。そのため、多くの企業がMacとWindowsの両方を使い分ける形で導入しているケースが増えています。
例えば、IBMやメルカリ、サイボウズなどのIT企業では従業員が入社時に希望するOSを選択できる制度を導入しています。自身の業務に適したOSを選択できるため、従業員満足度と生産性の向上につなげている状況です。
参考:
jamf | IBM、MacがIBMの生産性と従業員満足度の向上につながるという調査結果を発表
FAQ(採用情報)|株式会社メルカリ
どうする?在宅勤務 | cybozu
職種別のおすすめOSを一覧で紹介
クリエイティブ・開発職にはMac、計数管理・事務職にはWindowsを割り当てるのがパフォーマンスを最大化する上でおすすめです。各職種で求められるツールや業務フローに基づく推奨OSは以下のとおりです。
- 【Webエンジニア】
- 推奨OS:Mac
- 理由:UNIXベースでサーバーサイド開発環境との親和性が高く、iOSアプリ開発にはMacが必須であるため
- 【デザイナー】
- 推奨OS:Mac
- 理由:業界標準であり、フォント描画の美しさとディスプレイの色再現性がWindowsより優れているため
- 【経理・財務】
- 推奨OS:Windows
- 理由:Excelのショートカットキーやマクロをフル活用する業務に最適で、会計ソフトやネットバンキングの電子証明書がWindowsのみ対応のケースが多いため
- 【営業・コンサル】
- 推奨OS:Windows(一部Mac)
- 理由:クライアントとのファイル互換性を重視するならWindowsだが、バッテリー持ちと軽量さを重視する場合はMacBook Airも
- 【行政・総務】
- 推奨OS:Windows
- 理由:行政の電子入札システムなどは依然としてWindowsが推奨環境であるケースが多いため
近年は、クラウド型ツールの普及によりOS間の差異は縮まりつつあります。しかし、業務の専門性が高い領域ほどOSの特性を理解した適材適所の選定が生産性を大きく左右します。
MacとWindowsの違いを比較
以下では、MacとWindowsの違いを3つの観点から比較します。
- 【コスト】初期費用はWindowsが安くリセールバリューはMacが高い
- 【互換性】Officeは同等だが基幹システム・専用ソフトならWindowsが優位
- 【セキュリティ】Macはウイルスに強いがWindowsは標準管理機能が充実
どちらか一方に絞るのが正解なわけではなく、自社の優先順位に応じて適したOSを選択するのが重要です。
【コスト】初期費用はWindowsが安くリセールバリューはMacが高い
導入時の安さならWindowsですが、トータルコストで比較するとMacが安くなるケースがあります。Windows PCは数多くのメーカーから販売されており、1台5万円以下のモデルも存在するため、初期の導入コストを抑えるには最適です。
予算が限られたプロジェクトや事務作業のみの短期雇用スタッフ用には、Windowsが有利です。一方で、Macはリセールバリューが高く長期運用した際も値崩れしにくいため、売却まで含めると総額のコストは抑えやすくなります。
【互換性】Officeは同等だが基幹システム・専用ソフトならWindowsが優位
一般的なOffice業務ならMacで問題ありませんが、Excelの高度な分析や基幹システムを使う場合はWindows一択です。Microsoft 365はMacにも対応しており、Word・PowerPoint・Teamsなどの基本操作に差はありません。しかし、専門的な業務においてはWindowsとMacに以下の壁が存在します。
● 【Excelの機能における差分】
MacではPower Pivotやピボットグラフの作成、ユーザーフォームを含む高度なVBAの動作はできません。そのため、経理・財務でExcelの機能を幅広く使用する場合は、業務効率が低下するリスクがあります。
● 【Windows専用ソフトの存在】
行政システムや建設・製造業のCAD/管理ソフトなどには、Windows環境を前提として設計されているものが少なくありません。Macでこれらを動かすにはParallelsなどの仮想化ソフトを導入する必要があり、コストと動作負荷が課題となります。
【セキュリティ】Macはウイルスに強いがWindowsは標準管理機能が充実
セキュリティリスクの観点では、シェアの高さゆえにWindowsが攻撃対象になりやすい傾向があります。そのため、Macの方がマルウェア被害などのセキュリティ事故に会う確率は低い傾向です。
実際に、Surfsharkの調査ではマルウェア検知数の約87%がWindowsを対象としたもので、Macは約13%となっています。
管理面では、WindowsはMicrosoftが提供するMicrosoft IntuneやActive Directoryとの親和性が抜群です。そのため、USBの使用禁止やアプリ制限などの端末管理がスムーズに実施できます。
参考:Windows users, beware: 7× more malware than macOS|Surfshark
Macを企業で導入するメリット・デメリット
以下では、Macを企業で導入するメリット・デメリットについて詳しく解説します。
Mac導入のメリット
Macを導入するメリットは、PC運用にかかるトータル費用の削減と従業員満足度の向上を同時に実現できる点にあります。Forrestenの調査では、MacはWindowsと比較して3年間でデバイス1台あたり843ドルのコスト削減効果があったと報告されています。
この背景としてWindowsに比べて不具合によるヘルプデスクへの問い合わせが少なく、IT部門の管理工数を抑えられる事が挙げられます。また、同一調査では、一般的なWindowsよりも50%少ないと同調査で報告されており、省電力性能の高さもコスト抑制に寄与しています。
さらに、人材戦略の面でも大きな効果が期待できます。Macはプライベートで使用するユーザーも多いPCです。使い慣れたデバイスをビジネスでも選択できれば、業務上でのストレスも少なくなり、生産性の向上にもつながります。
参考:The Total Economic Impact™Of Mac In Enterprise:M1 Update|Forrestern
Mac導入のデメリット
Mac導入におけるデメリットは、既存のWindows専用システムとの互換性がない点です。具体的には、以下のようにWindowsのみ動作を推奨するシステム・ソフトが一定数存在します。
- 国内の一部の法人インターネットバンキング
- 製造業向けのCADソフト など
そのため、経理・総務部門にはWindowsを、開発・営業部門にはMacを割り当てるなどの使い分けが現実的な解決策となります。
また、MacとWindowsでは標準フォントが異なるため、資料を共有した際にレイアウトが崩れるなどのリスクもあります。これらを防ぐためには外部への共有データはPDFに統一するか、両OSに共通するフォントを社内標準に定めるなどのルール作りが必要です。
さらに、5万円台のエントリーモデルがあるWindows PCに対し、Macは最低でも10万円以上となり、初期費用の高さも課題です。Macの導入を実現するためには運用コストの削減効果などを試算し、経営層の決裁を得るロジックを組み立てる必要があります。
Windowsを企業で導入するメリット・デメリット
以下では、Windowsを企業で導入するメリット・デメリットを詳しく解説します。
Windows導入のメリット
企業がWindowsを導入するメリットは、主に3点あります。1点目は業務に必要なアプリ・システム・ソフトをかなり網羅している点です。
国内の基幹システムや生産管理ソフト、工場設備などの産業機器のほとんどはWindows環境を前提に開発されています。これらをMacで動作させようとすると仮想環境の構築など追加投資が必要ですが、Windowsであればそのまま利用が可能です。
2点目は、Copilotによる事務作業の自動化が可能である点です。Windows 11に標準搭載されたCopilotやCopilot for Microsoft 365を活用すれば、大きく生産性を向上させることができます。ExcelやPowerPointの作成をAIが補佐する機能においても、現時点ではWindows環境が最もスムーズに連携します。
3点目は、ハードウェアを選定する際の柔軟性と価格帯の広さです。Dell・HP・Lenovoなどの海外メーカーから、富士通・NECなどの国内メーカーまで無数の選択肢がWindowsには存在します。「営業用には軽量なモバイルノート」など、用途と予算に合わせて最適なスペックのPCを調達できる点が魅力です。
Windows導入のデメリット
まずWindowsを導入するデメリットとして挙げられるのは、マルウェア被害が集中しやすいセキュリティリスクです。Surfsharkの調査によれば、検出されたマルウェアの約87%がWindowsを標的としており、Macの約13%と比較して約7倍のリスクに相当します。
参考:Windows users, beware: 7× more malware than macOS|Surfshark
セキュリティ強化のために別途セキュリティソフトを導入すれば、その分ライセンス費用が加算されるのが懸念点です。
次に、2025年10月14日にWindows 10のサポートが終了した点も無視できません。Windows 11のシステム要件を満たさないPCはセキュリティ更新を受けられなくなるため、大量の買い替えや廃棄コストが発生します。
さらに、アップデートによる不具合が起きやすい点もWindowsにおける課題です。Windows Update適用後にプリンターが動かなくなったり、共有フォルダが見えなくなったりなどのトラブルが頻発する傾向があります。また、長期間使用するとレジストリの肥大化などで動作が徐々に重くなり、定期的な再セットアップが必要になるケースも少なくありません。
MacとWindowsをどっちにすべきか決められない場合はPCレンタルがおすすめ
MacとWindowsをどっちにすべきか決められない場合は、PCレンタルの活用がおすすめです。PCレンタルを活用すれば、初期投資をゼロに抑えつつ自社の業務フローにどちらのOSがフィットするかを検証できます。
近年、企業がPCを資産として保有せず、必要なときだけ利用する「DaaS(Device as a Service)」市場が急拡大しています。2035年までに市場規模は約1兆8,000億ドルに達すると見込まれており、所有から利用へのシフトは世界的にもトレンドです。
参考:Device as a Service Market is likely to Reach USD 1804.35 Billion|openPR
もし「試しにMac・Windowsを導入したい」と考えているなら、いきなり多額の初期費用を投じて購入するのはハイリスクです。レンタルであれば、1週間〜1ヵ月単位での短期利用が可能で、以下のメリットを享受できます。
- もしWindows・Macが自社に合わなくても返却するだけで済み、購入によるサンクコストが発生しない
- 購入や長期リースと異なり、固定資産税の申告や減価償却計算、廃棄時のデータ消去・産廃処理などの作業が必要ない
まずは主要な業務アプリが動作するか確認するためにMacとWindowsをレンタルし、現場の従業員に試用させましょう。
お試し運用や短期プロジェクトでPCをレンタルする際におすすめなのがテクノレントです。テクノレントなら面倒な初期設定やセキュリティ対策を済ませた状態で納品されるため、届いたその日から検証作業をスタートできます。「まずは1ヵ月だけ借りたい」「急ぎで見積もりが欲しい」などの要望にも柔軟に対応しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
MacとWindowsのハイブリッド運用をレンタルで実現しよう
ビジネスPCを選定する際は、OSを統一するのではなくMacとWindowsを部署ごとに使い分ける運用がおすすめです。Windowsは互換性と初期費用の安さが強みですが、Macはトラブルの少なさと高いリセールバリューで総コストが安くなる傾向にあります。
「経理・事務ならWindows」「開発・営業ならMac」と、業務の特性に応じてOSを使い分けましょう。
もしWindowsとMacのどちらにすべきか迷うなら、いきなり購入せずにPCレンタルを活用するのがおすすめです。リスクゼロで試験運用し、現場の適合性を確認してから本格導入するのが失敗しないビジネスPC導入のポイントです。

