ローカルAIとは?メリット・デメリット・PCスペックの目安も紹介

ローカルAIとは?メリット・デメリット・PCスペックの目安も紹介

「AIを業務活用したいが、機密情報をクラウドに送信するのはセキュリティ上許可できない」。多くの企業が、今まさにこのジレンマに直面しているでしょう。AI活用によるセキュリティ上の問題を最も安全に解決できる方法が、データを社外に出さないローカルAIです。
本記事では、ローカルAIのメリット・デメリットや、必要となるPCスペックの目安について紹介します。本記事を読むことで、自社でスムーズにローカルAIを導入する方法がわかります。セキュリティ上の懸念を払拭しつつ、業務効率化を図りましょう。

ローカルAIとは?

ローカルAIとはPCやスマートフォン、あるいは社内のサーバーなどのローカル環境で直接動作するAIを指します。最大の特長は、AIの計算・推論などの作業をインターネットに接続せずにデバイス内部や社内ネットワークで完結できる点です。

例えば、インターネットに接続していなくても高精度な翻訳ができるスマートフォンのアプリがローカルAIに該当します。ローカルAIの環境を整備すれば、データを安全な場所にとどめたまま、AIの高度な分析能力や業務効率化の恩恵を受けられます。

クラウドAIとの違い

クラウドAIとローカルAIの最も大きな違いは、AIが処理を実行する場所とデータの扱い方です。クラウドAIはGoogleやMicrosoftなどのベンダーが提供するデータセンターにデータを送信し、処理結果を受け取ります。一方、ローカルAIは手元のデバイスや自社サーバーのリソースを使って処理を行います。

なお、クラウドAIとローカルAIの特徴を簡単にまとめると以下のとおりです。

  • 【クラウドAIの特徴】
  • メリット:非常に高度で大規模なAIモデルを利用でき、自社で高価なサーバーを準備する必要がなく、初期投資を抑えやすい。
  • デメリット:データを外部に送信する必要があり、機密情報や個人情報を扱う場合のセキュリティポリシーが課題となる。インターネット接続が必須であり、通信環境によっては応答が遅れる可能性がある。
  • 【ローカルAIの特徴】
  • メリット:データを外部に一切送信しないため、非常に高いセキュリティを確保できる。オフライン環境でも動作が可能で処理が手元で完結するため、ネットワーク遅延のない高速な応答が期待できる。
  • デメリット:高性能なAIを動かすためには、相応のマシンスペックが必要になる場合が多い。AIモデルのアップデートや管理を自社で行う運用負荷が発生する。

「AIの最新機能を素早く試したい」「初期投資をなるべく減らしたい」などの場合は、クラウドAIが適しています。一方で、「顧客情報や社外秘の情報をAIで分析したい」「安定した高速応答が必須」などの条件がある場合は、ローカルAIがおすすめです。

企業がローカルAIを導入するメリット

企業がローカルAIを導入するメリットとして、主に以下の3つが挙げられます。

  • 機密情報を外部に出さず安全にAIを活用できる
  • API利用料や月額料金が不要になる
  • 自社専用のデータでAIをチューニングできる

このように多くのメリットがあるため、ローカルAIの導入は真っ先に検討したい選択肢です。

機密情報を外部に出さず安全にAIを活用できる

企業がローカルAIを導入する最大のメリットは、機密情報を外部に出さず安全にAIを活用できる点です。例えば、クラウドAIを利用する場合、データをインターネット経由で送信するプロセスが必ず発生します。上記のプロセスでは、通信傍受やサービス側での情報流出が起きるリスクが懸念されます。

一方で、ローカルAIはAIの計算・処理が全て自社のサーバーや従業員のPCなど自社の管理下にあるネットワークで完結するシステムです。そのため、クラウドAIのような外部要因に左右されるリスクを根本から遮断できます。今までAIでの分析・活用を断念していた機密性の高いデータも、安全に業務効率化へ役立てる道が開けます。

API利用料や月額料金が不要になる

API利用料や月額料金が不要になる点も、ローカルAIのメリットです。クラウドAIの多くは、APIのリクエスト数や処理したデータ量に応じた従量課金制を採用しています。初期投資を安くできる一方で、使えば使うほどコストが増加し続ける側面も持っています。

例えば、全従業員が日常的に文書の要約や翻訳、社内規定の検索などでAIを頻繁に利用するケースを考えてみましょう。クラウドAIではユーザー数や利用量が膨大になり、月々の支払額が予想以上に膨れあがる可能性があります。

一方で、ローカルAIは初期の環境構築に費用がかかるものの社内でどれだけAIを頻繁に利用してもAPI利用料や月額料金は発生しません。中長期的にAIの利用量が多いと見込まれる企業にとって、ローカルAIはトータルコストを抑える賢明な投資となり得ます。

自社専用のデータでAIをチューニングできる

自社専用のデータでAIをチューニングできる点も、ローカルAIのメリットです。AIを導入すると、「自社の専門用語や社内ルールを理解してくれない」など回答が的外れになる問題が発生しやすくなります。

ローカルAI環境は、このような問題を解決する追加学習を安全かつ柔軟に行える点が強みです。ローカルAIに入力したデータは、完全に自社ネットワークの管理下に置かれます。そのため、外部には決して出せない機密性の高い自社専用データを安全にAIの追加学習に利用できます。

例えば、過去の技術仕様書や顧客サポートの対応履歴などを学習させたとしましょう。するとAIは会社の業務内容や専門用語、独自のノウハウを深く理解してくれます。結果、「製品Bに関する過去のトラブルシューティング事例を3つ要約して」など専門的な指示にも応答できる自社専用AIへと進化させられます。

ローカルAI導入の注意点・デメリット

ローカルAIの導入には、以下のような注意点・デメリットも存在します。

  • AIに対応する高性能PCが必須
  • PCの導入・保守に専門知識が必要
  • クラウドAIの最上位モデルと比較すると性能が劣る

このような注意点・デメリットに対しては、事前に対策を講じておきましょう。

AIに対応する高性能PCが必須

AIに対応する高性能PCが必須である点が、ローカルAIを導入する際に注意すべき点です。クラウドAIがインターネットにある巨大なデータセンターを使うのに対し、ローカルAIは手元のPCや社内サーバーの力で動作します。

特に、高性能なAIモデルを快適に動かすためには、一般的な事務作業用のPCとは比較にならないほどの高い処理能力が必要です。具体的には、AIの計算処理に特化した高性能GPUが必須となります。

また、AIモデル自体を読み込むために大容量のVRAMやPC本体のメインメモリも必要です。現在社内で使っているPCが必要スペックを満たしていない場合、高性能PCを導入するために多額の初期投資が伴う点を理解しておく必要があります。

PCの導入・保守に専門知識が必要

ローカルAI環境の構築と運用保守には、従来のITインフラ管理とは異なる専門知識が不可欠な点にも注意が必要です。具体的には、ローカルAIを導入・運用する際に以下のような新たなタスクが発生します。

  • AIモデルを動かすための基盤のセットアップ
  • オープンソースで公開されている無数のAIモデルから、自社の目的とハードウェア性能に見合った最適なモデルを選び、正しくインストールする作業
  • セキュリティパッチの適用や性能向上のためのアップデートを継続的に追跡し、適用していく運用
  • 「AIが応答しない」「処理が異常に遅い」といったローカルAI環境特有の問題が発生した際の専門的な原因究明と対処

上記のタスクに対応できるスキルを持つ人材が社内にいない場合、IT部門の既存メンバーが新たに学習する必要があります。自社で対応できなければ、外部の専門ベンダーに保守を委託する必要があり、運用コストがかかる点にも注意が必要です。

クラウドAIの最上位モデルと比較すると性能が劣る

ローカルAIは、純粋な性能面が現時点でクラウドAIの最上位モデルに及ばないケースが多い点にも注意が必要です。ChatGPTやGeminiのような最先端のクラウドAIは、莫大な資本と計算リソースを投じて開発・運用されています。そのため、AIの知識量や複雑な指示の理解力、推論能力は極めて高いレベルにあります。

一方、ローカルAIは巨大モデルと比較するとAIの賢さを表すパラメータ数が少ない軽量版や中規模版が中心です。もちろん、ローカルAIモデルも文書の要約や翻訳、社内規定に基づいたQ&Aのような特定の業務においては十分すぎるほどの性能を発揮します。

しかし、「新しいマーケティング案をゼロから創造させる」などの高度な要求に対しては、クラウドAIの最上位モデルに軍配が上がります。

ローカルAIの利用にはPCの「GPU」と「VRAM」が重要

ローカルAIの利用にはPCの「GPU」と「VRAM」が重要です。今までの業務用PCの選定ではWordやExcel、ブラウザなどが快適に動作するCPUの性能が最重要指標でした。しかし、AIによる作業処理はGPUとVRAMの性能によって質が大きく変わります。

AIの計算は、膨大な数の単純な計算を一斉に並列処理する特徴があります。上記の処理は、3Dグラフィックス描画のために単純な計算を大量かつ同時に行う設計にされているGPUが得意とする分野です。ローカルAIの思考速度は、CPU性能よりもGPU性能に大きく左右されます。

また、VRAMはGPU専用の高速なメモリです。AIモデルは処理を実行するために、VRAM上に丸ごと、あるいは分割して読み込ませる必要があります。AIモデルは非常に巨大であるため、VRAMの容量がAIモデルのサイズより小さいと処理速度が極端に低下してしまいます。

ローカルAIの導入に必要なPCスペックの目安

ローカルAIの導入に必要なPCスペックの目安として、以下3つの段階にわけて紹介します。

【エントリーレベル(VRAM8GB~12GB)】
「まずはAIローカルがどのようなものか試してみたい」という企業に適しています。比較的小型のモデルであれば動作可能ですが、実務で使うにはやや力不足を感じる場面もあります。

【ミドルレベル(VRAM16GB~24GB)】
企業が実務でローカルAIを活用する上で、最も現実的かつ推奨されるラインです。VRAMが16GB以上あれば、現在主流となっている高性能な中規模モデルの多くを快適に動作させられます。社内ナレッジの検索や業務に特化したAIチャットボットの運用が視野に入ります。

【ハイエンドレベル(VRAM24GB以上)】
非常に高性能・大規模なモデルを動かす、自社データでAIの追加学習まで行いたい場合に必要です。特に、学習を行う場合はVRAMの消費が激しいため、24GB以上の大容量を搭載したGPUが必要となります。
もちろん、GPUとVRAM以外にもPC本体のメインメモリもAIモデルの読み込み処理に関わります。そのため、32GB〜64GB以上のメインメモリを搭載し、ストレージも高速なNVMe SSDを選択しましょう。

ローカルAIに対応する高機能PCの調達はレンタルがおすすめ

ローカルAIの導入には高性能PCが不可欠ですが、購入は多額のコストがかさみます。そこで、高性能PCの購入にかかる費用を懸念する場合におすすめしたいのがPCのレンタルサービスです。

高額なAI対応PCを購入するのではなくレンタルすれば、最新のGPUを搭載した高性能PCを月額数万円から利用できます。そのため、予算に限りがある企業でも初期投資を最小限に抑えてローカルAIの導入が可能です。

また、高性能PCは構造上、一般的な事務用PCよりも故障リスクやトラブル対応が複雑になりがちです。購入した場合のPCの保守・管理は企業の業務となりますが、レンタルであれば全てサービス提供側が担当します。万が一の故障時も代替機がすぐに提供されるため、PCの保守・管理に手間がかかりません。

ローカルAIを始めるにあたり、不確定要素の多いハードウェアをいきなり所有するリスクは想像以上に大きいものです。まずはレンタルサービスを活用し、低リスクかつ手間をかけずにローカルAIを導入しましょう。

なお、テクノレントではAI搭載PCである「HP EliteBook635 Aero G11」のレンタルに対応しております。ローカルAIの導入にレンタルを活用する際は、ぜひテクノレントまでご相談ください。

まとめ

企業のAI活用において、ローカルAIはセキュリティの問題を解決できる有効な手段となります。クラウドAIとは異なり、機密情報や個人情報を一切社外に出さず社内ネットワークでAI処理を完結させられる点が最大のメリットです。また、API利用料のような定期的にかかるコストを抑えられる利点もあります。

ただし、導入には高性能なGPUと大容量VRAMを搭載したPCが不可欠であり、初期投資や専門知識を要する保守・運用が課題です。もし、初期投資の高さや保守・運用の手間に懸念を感じる場合は、AI搭載PCのレンタルでローカルAIを導入するのがおすすめです。ローカルAIを活用し、セキュリティ上の問題を解決しつつ業務効率化を図りましょう。