パソコンの処分や買い替えを検討中の企業で、本体に残っている個人情報や仕事のファイルが流出したらと不安に感じていませんか。多くの方が初期化すれば大丈夫と思いがちですが、それだけではパソコンのデータは完全に消去されません。専門的な技術を使えば、消したはずのファイルが復元されてしまう危険性があります。
そこで本記事では、パソコンデータの消去方法について、その理由や業者選びのポイントを解説します。本記事を読めば、パソコンデータのスムーズかつ完全な消去が可能です。情報漏洩のリスクをゼロにし、パソコンを安全に処分しましょう。
パソコンのデータを消去すべき理由
パソコンの処分・買い替えの前に、データを消去すべき理由として以下の3つが挙げられます。
- 情報漏洩による信用の失墜と損害賠償のリスクがある
- OSの初期化だけでは完全にデータを削除できない
- 企業の社会的責任とコンプライアンス遵守
データが残ったままだと多くのリスクを伴うため、パソコンを処分する前に確実に消去しましょう。
情報漏洩による信用の失墜と損害賠償のリスクがある
パソコンのデータを消去すべき理由は、情報漏洩による信用の失墜と損害賠償のリスクがあるためです。もし顧客情報や取引先の機密情報が流出してしまえば、企業の社会的信用は失墜します。信用の回復には長い時間と多大なコストがかかるだけでなく、最悪の場合は高額な損害賠償請求や集団訴訟に発展することもあります。
たった1台のパソコンの不適切な処理が、事業の存続を脅かすほどのダメージにつながってしまうのです。そのため、パソコンを手放す際には、完全なデータ消去が不可欠なのです。
OSの初期化だけでは完全にデータを削除できない
OSの初期化だけではデータを完全に削除できない点も、理由としてあげられます。OSの初期化とは、パソコンを工場から出荷された時と同じ状態に戻す作業です。
初期化を実施すると、一見インストールしたアプリケーションや作成したファイル、設定情報などが削除されたように見えます。
しかし、OSの初期化はデータの保管場所を示す情報を消しているだけで、データはHDD・SSDのなかに残存しています。
専門的な知識を持つ人や市販の復元ソフトを使えば、削除したはずのファイルでも簡単に復元できてしまうことがあります。自分では完全に消去したつもりでも、第三者の手に渡るとデータが復元され、情報漏洩につながるおそれがあります。
企業の社会的責任とコンプライアンスを守るため
企業の社会的責任とコンプライアンスを守るために、パソコンのデータ消去は必要です。現代の企業活動において、コンプライアンスは極めて重要な経営課題です。特に個人情報保護法では、事業者が取り扱う個人データの安全管理が厳しく義務付けられています。
パソコンを処分する際、内部のデータを適切に消去せずに廃棄・売却すると、安全管理義務に違反する行為とみなされる可能性があります。これは、企業の社会的責任の観点からも許される行為ではありません。
顧客や社会からの信頼を維持し、企業のブランドイメージを守るためにも法令やルールに則った確実なパソコンのデータ消去は必須です。情報管理体制の徹底はリスクを回避するだけでなく、取引先や顧客からの信頼を高めて企業の持続的な成長を支える基盤にもなります。
パソコンのデータを消去する方法
パソコンのデータを消去する方法として、以下の4つがあげられます。
- 専用のソフトウェアを使ってデータを消去
- 物理的にHDD・SSDを破壊
- 磁気消去
- 専門業者への委託
上記の中から、自社で問題なく実行できる方法でデータを消去しましょう。
専用のソフトウェアを使ってデータを消去
まず紹介するのは、専用のソフトウェアを使ってパソコンのデータを消去する方法です。具体的には、専用のソフトウェアでHDD・SSDに保存されているデータに対し、意味のないデータ(ランダムな文字や数字など)を何回も上書きして読み取れなくします。こうすることで、元のデータを復元できないようにする仕組みです。
パソコンが正常に動作する状態であれば、比較的安価もしくは無料で手軽に実行が可能です。物理的に破壊するわけではないため、データ消去後にパソコン本体やHDD・SSDを再利用できます。
ただし、データの容量やソフトウェアの消去レベルによっては処理に数時間かかる場合があります。また、「パソコンが起動しない」「HDD・SSDが故障している」などの場合にはこの手法を利用できません。
物理的にHDD・SSDを破壊
最も原始的かつ確実なのが、データを記録しているHDD・SSDを物理的に破壊する方法です。具体的にはドリルで内部の円盤に穴を開けたり、ハンマーで叩き割ったりしてデータの読み取りを不可能にします。
正しく破壊すればデータが復元される可能性は極めて低く、非常に確実性の高い方法です。また、ソフトウェアの購入費用などもかからず専門的な知識も必要ありません。ただし、当然ながら破壊したパソコンや記憶媒体は二度と使用できなくなり、破片が飛び散るなど作業にはけがのリスクが伴います。
磁気消去
磁気消去とは強力な磁力を発生させる専用の装置を使い、HDD内部の磁気データを瞬時に破壊する方法です。HDDは磁力を使ってデータを記録しているため、強力な磁気を当てれば記録されている情報を根本から破壊して復元不可能な状態にできます。
磁気消去は物理的な破壊と異なり、パソコンを分解する必要がなく短時間でデータ消去を完了できる点がメリットです。また、専用ソフトウェアを使った消去方法のように長時間の処理を待つ必要もありません。
ただし、磁気消去は磁気で記録するHDDにしか有効ではない点に注意が必要です。近年主流となっているSSDはデータを記録する仕組みが異なるため、磁気を当ててもデータを消去できません。加えて、専用の装置が非常に高価であり、個人での導入は現実的ではなく主に専門業者が利用するデータの消去方法です。
専門業者への委託
最も安全で確実なのが、データ消去を専門とする業者に委託する方法です。専門業者は専用ソフトウェアでの消去や物理破壊などの方法を、パソコンの種類などに応じて適切に組み合わせて実施してくれます。
専門業者はパソコンのデータ消去に関する知識と設備を用いて作業を行うため、非常に信頼性が高いのが特長です。データ消去作業の証明書を発行してくれる業者も多く、特に企業にとってはコンプライアンス遵守の証明として役立ちます。また、面倒な作業を全て任せられるため、手間と時間を大幅に節約できます。
信頼できるパソコンの専門業者を選ぶポイント
信頼できるパソコンの専門業者を選ぶポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- 第三者認証の有無など実績と信頼性の確認
- 対応している消去方法と範囲を確認
- データ消去証明書の発行に対応しているか
- 料金体系がわかりやすく示されているか
- セキュリティ体制がしっかりしているか
上記のポイントを参考に、自社の条件にあった専門業者を選びましょう。
第三者認証の有無など実績と信頼性を確認する
まず最初に確認すべきは依頼する専門業者が客観的に信頼できるかどうかで、指標となるのが第三者機関による認証の有無や実績です。たとえば、ADEC(データ適正消去実行証明協議会)のような第三者機関の認証を受けている業者はデータ消去の技術や管理体制が一定水準以上であると客観的に証明されています。
また、公式サイトで今までの取引実績を公開しているかどうかも重要な判断基準です。豊富な実績は多くの顧客から信頼を得てきた証であり、提供されるサービス内容に関しても一定の水準を期待できます。
対応している消去方法と範囲を確認する
データ消去の専門業者を選ぶ際は、対応している消去方法と範囲を確認しましょう。
一口に専門業者といっても、提供できる消去方法はさまざまです。ソフトウェアによる消去のみを扱う業者もあれば、物理破壊や磁気消去など、専用設備を用いた高度な方法まで対応している業者もあります。
自社のパソコンがHDDなのかSSDなのかなど、機器の種類に応じた最適な消去方法に対応しているか確認しましょう。さらに、外付けHDDやUSBメモリなど、ほかの記憶媒体のデータ消去に対応しているかも確認しておくのがおすすめです。複数の機器をまとめて依頼したい場合には、ワンストップで対応してくれる業者を選ぶと手間が省けます。
データ消去証明書の発行に対応しているか
データ消去証明書の発行に対応しているかも、確認しておきましょう。
信頼できる専門業者の多くは、データ消去証明書を発行しています。データ消去証明書とは「いつ、どのパソコンのデータを、どのような方法で消去したのか」を正式に証明する書類です。
データ消去証明書は、万が一の際に適切なデータ消去処理を行った客観的な証拠となります。特に、企業にとっては監査やコンプライアンス遵守の証明として不可欠なものです。
料金体系がわかりやすく示されているか
料金体系がわかりやすく示されているかも、専門業者を選ぶ上で確認しておきたいポイントです。業者のホームページに料金が明示されており、「基本料金に何が含まれ、何がオプションになるのか」が一目でわかる業者は信頼できます。
事前にパソコンのデータ消去にかかる費用の内訳が明確になっていれば、想定外の追加料金を請求される心配もありません。専門業者とのトラブルを避けるためにも、正式に依頼する前に必ず見積もりを取り、費用の内訳を確認しましょう。
セキュリティ体制がしっかりしているか
セキュリティ体制がしっかりしているかも、パソコンの専門業者を選ぶ上で確認しておきましょう。専門業者に依頼する際、当然ながらデータが入った状態のパソコンを一時的に業者へ預けます。
せっかく専門業者にデータ消去を依頼しても、作業の過程で情報が漏洩してしまっては意味がありません。そのため、作業中だけでなく、輸送中や保管中のセキュリティ体制が万全かどうかも事前に確認しておきましょう。
具体的には、次のようなセキュリティ体制のポイントをチェックしておくことをおすすめします。
- パソコンの引き取りから作業完了までの管理体制はどうか
- 作業スペースは施錠管理され、関係者以外は立ち入れないようになっているか
- 監視カメラの設置など物理的な防犯対策は十分か
- プライバシーマークやISMSなどのセキュリティ関連の認証を取得しているか
データの消去に不安がある場合はレンタルPCがおすすめ
今までパソコンのデータ消去の重要性と具体的な方法を解説してきましたが、確実性を求めるほど専門知識や手間がかかるのも事実です。もし、データ消去の手間や情報漏洩リスクに少しでも不安を感じるなら、パソコンを所有するのではなくレンタルするのもおすすめです。
レンタルパソコンであれば、利用後のデータ消去は全てレンタル会社の責任において専門的な手法で実施されます。利用者の方はパソコンを返却するだけでよく、自ら消去方法を調べたり、信頼できる業者を探したりなどの手間から解放される点も魅力です。特に、以下のようなケースではレンタルPCに大きなメリットがあります。
- 短期間のプロジェクトで一時的にパソコンが必要な場合
- 従業員の入退社に合わせて柔軟に台数を調整したい場合
- 常に最新スペックのPCを利用したいが、購入から廃棄までの管理が煩雑な場合
レンタルは、パソコンの導入から廃棄までをアウトソーシングする感覚で利用できます。そのため、情報システム部門をもたない中小企業でも情報漏洩のリスクを大幅に低減させられます。
そして、企業がレンタルPCを利用する際におすすめなのが法人向けレンタルサービスを提供するテクノレントです。パソコンの利用後は端末を返却するだけで、複雑な廃棄プロセスやデータ消去の証明などの管理負担を全てテクノレントに任せられます。
また、取り扱い機種も豊富で高性能PCから専門的な計測器、さらにはIoTセキュリティソリューションまで幅広く展開しています。レンタルを利用すれば、常に最新の機器を最適な状態で使用できるメリットもあり、業務効率の向上にも貢献が可能です。
法人としてパソコンのデータ消去リスクを根本からなくし、資産管理の負担を軽減したい場合は、ぜひテクノレントへお問い合わせください。
まとめ
本記事では、パソコンを手放す際に不可欠なデータ消去の重要性と具体的な方法について詳しく解説してきました。パソコンの初期化だけではデータが完全に消えず、復元されるリスクが残ります。個人情報や企業秘密を守るためには、適切なパソコンのデータ消去が必須です。
企業自身でソフトウェアを使ったり物理的に破壊したりする方法もありますが、最も安全で確実なのは専門業者への委託です。専門業者へ委託する際は、第三者認証の有無やデータ消去証明書を発行してくれるかなどのポイントを確認しておきましょう。
また、そもそもデータ管理の手間や情報漏洩のリスクを根本からなくしたい場合には、パソコンをレンタルする選択肢も有効です。本記事を参考に企業の状況に合った最適なパソコンのデータ消去方法を選択し、大切な情報資産を守り抜きましょう。

