NPUとは?CPUとGPUとの違いやビジネスへの活用法も紹介

NPUとは?CPUとGPUとの違いやビジネスへの活用法も紹介

「最近よく聞くNPUって、一体何のことだろう?」「CPUやGPUとは何が違うのか、ビジネスにどう役立つのかが分からない」PC関連技術の進化が加速するなか、こうした疑問を抱える企業担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、NPUとは何かについてCPUとGPUとの違いやビジネスへの活用法も併せて紹介します。NPUの概要を理解することで、自社の業務にスムーズに活用できるようになります。NPUを搭載したPCを活用し、業務効率化や生産性向上につなげましょう。

NPUとは?

NPU(Neural Processing Unit)は、AI処理に特化したプロセッサーです。人間の脳神経回路を模したニューラルネットワークの演算を、高速かつ省電力で実行できるよう設計されました。
NPUが注目される理由は、ChatGPTに代表される生成AIなど、高度なAI技術がビジネスや生活へ急速に浸透し始めたためです。例えば、PC上でスムーズに実行する際にNPUが力を発揮します。

  • オンライン会議中にリアルタイムで高精度な文字起こしや翻訳を行う
  • 大量のデータからAIが瞬時に分析レポートを作成する

NPUはAI時代においてPCの性能を最大限に引き出し、生産性を向上させるために不可欠な存在です。

CPUとGPUとの役割の違い

NPUと似たような言葉に、CPUとGPUがあります。NPU、CPU、GPUの役割の違いや特性をまとめると以下のとおりです。

CPU(中央演算処理装置)

CPUは、コンピュータ全体の制御や命令を逐次的に実行する汎用性の高いプロセッサーです。複雑な命令を正確に解釈し、一つひとつ順番に処理する能力に長けています。OSの起動や一般的なアプリの実行など、コンピュータの基本的な動作全般を担う中心的な存在です。

GPU(画像処理装置)

GPUは単純な計算を同時に、かつ大量に実行する並列処理に特化したプロセッサーです。構造上、何千もの計算を一度に行えます。もともとは3Dグラフィックスの描画のために開発されましたが、AIの学習や科学技術計算など膨大な計算が求められる分野で広く活用されています。

NPU(神経回路処理装置)

NPUはAI、特にニューラルネットワークの計算に最適化された専用プロセッサーです。AIのアルゴリズムで最も頻繁に使用される積和演算を、CPUやGPUよりも圧倒的に高速かつ低消費電力で実行できるように設計されています。上記の効率性により、AI機能の実行をクラウドに頼らず、デバイス上で直接かつ快適に行えます。
上記のようにCPU、GPU、NPUは得意分野が異なり、互いの役割を補い合うことでコンピュータ全体のパフォーマンスを最大化しています。

NPUがビジネスにもたらすメリット

以下では、NPUがビジネスにもたらす3つの具体的なメリットについて分かりやすく解説します。

① AI処理による作業の高速化

NPUがもたらす最も直接的なメリットは、AIに関連するあらゆる作業の高速化です。AIの計算に特化して設計されたNPUはCPUやGPUに頼るよりもはるかに速く、効率的にタスクを処理します。
そのため、今まで時間がかかったり、PCのスペック不足で諦めていたりしたAI機能がビジネスの現場で快適に利用できます。
NPUをビジネスシーンに活用する具体例は、以下のとおりです。

  • オンライン会議:リアルタイムでの高精度な文字起こし・多言語翻訳、発言者の自動追尾、クリアなノイズキャンセリングなどがスムーズに機能する
  • クリエイティブ業務:AIによる画像生成やデザイン案の作成、動画編集のエフェクト処理や書き出し時間が短縮される
  • データ分析:膨大なデータからAIが瞬時にインサイトを抽出し、迅速な意思決定をサポートする

結果、社員は単純作業から解放されて付加価値の高い創造的な業務に集中できる環境が整います

② PC全体の快適性向上

NPUは、PC全体の快適性を向上させられる点がメリットです。NPUがAIに関する重い処理を専門に引き受けてくれるため、頭脳であるCPUや並列処理が得意なGPUは本来の役割に専念できます。そのため、以下のような負荷の高い複合的な作業もサクサクこなせます。

  • AIアシスタントに議事録の要約を指示しながら、Excelで複雑なデータ集計を行い、同時に複数のWebサイトで情報収集する

NPUによるストレスフリーな操作感は日々の業務における小さなイライラを解消し、結果として従業員の集中力と生産性の向上に直結します。

③ 省電力によるバッテリー性能の向上

特にノートPCを業務で利用する機会の多い方にとって、NPUがもたらす省電力性能は見逃せない大きなメリットです。NPUは、AI処理を低い消費電力で実行できるように設計されています。同じAIタスクをCPUやGPUで実行する場合と比較して、電力効率が格段に優れています。
特に、外出先や移動中にPCを利用するビジネスパーソンにとって、以下のようなポイントが大きなメリットです。

  • バッテリー残量を気にすることなく、場所を選ばずにAI機能をフル活用した作業が可能
  • ワーケーションやフリーアドレスといった現代的な働き方を実現しやすい

さらに、企業全体の視点で見れば、オフィスでの使用がメインの場合に導入するPCの消費電力が下がると電気代の削減にもつながります。

【部門別】NPU搭載PCの具体的な活用事例

ここではNPUの活用イメージを具体的にするために、部門別のNPU搭載PCの活用事例を紹介します。

【営業・会議】Web会議の質が向上して議事録作成も自動化

NPU搭載PCは、オンラインでの商談や社内会議の質を向上させられます。NPUの強力なAI処理能力により、PCに大きな負荷をかけることなく以下のような機能が快適に動作します。

  • 背景のぼかしやノイズ除去、目線を自動で補正するアイコンタクト機能などがスムーズに作動し、オンラインでの商談において好印象を与えられる
  • 外国語での会議でもAIがリアルタイムで字幕を表示し、会議中の会話は自動でテキスト化され、終了後には内容を要約してくれる

営業担当者は議事録作成のような付帯業務から解放され、最も重要な顧客との対話や提案活動そのものに集中できるようになります。

【マーケティング・企画】資料作成や画像生成の時間を大幅に短縮

NPUは、マーケティング・企画部門における以下のようなクリエイティブな作業を強力にアシストしてくれます。

  • いくつかのキーワードを入力するだけでAIがプレゼンテーションの構成案やデザイン、さらには文章まで自動で生成してくれる
  • 「30代女性がオフィスで笑顔で働くイメージ」などの簡単な指示文だけで、企画書やSNS投稿に使える高品質な画像を瞬時に作成できる

NPU搭載PCにより、マーケティング・企画担当者のアイデア創出から実行までのサイクルを加速させ、効果的な施策を迅速に展開できます。

【総務・経理】定型業務や問い合わせ対応をAIで効率化

NPU搭載PCは、総務・経理などのバックオフィス部門における以下のような業務を自動化・効率化できます。

  • 請求書や領収書の内容をAI-OCRで読み取り、会計システムへ自動入力するなどの作業をNPUが高速に処理
  • 経費精算の方法や各種手続きに関する社内からの問い合わせに対し、PC内のAIチャットボットが24時間365日対応してくれる

NPU搭載PCで反復的な作業から解放され、業務プロセスの改善や組織全体の生産性向上などの戦略的な業務へシフトできます。

【開発・制作】クリエイティブな作業をスムーズに進行

NPU搭載PCにより、開発・制作部門における以下のような高負荷なクリエイティブ作業を円滑に進められます。

  • AIがプログラムコードの記述を補完したり、エラーを予測・修正したりするAIアシスタントがNPUによってオフライン環境でも高速に動作し、開発の効率が飛躍的に向上
  • 4K動画の編集や3Dモデリング、大量の写真データ現像といった作業においてAIによるノイズ除去や超解像などの処理をNPUが担い、プレビューやレンダリングの待ち時間が大幅に短縮される

NPU搭載PCを選ぶ際のチェックポイント

法人でNPU搭載PCを選定する際に押さえておきたい3つのポイントを解説します。

【ポイント①】プロセッサーの種類

NPU搭載PCを選ぶ際は、プロセッサーの種類を確認しましょう。基本として押さえておきたいのが、NPUはCPUに内蔵される形で搭載されている点です。
そのため、「どのメーカーの、どのシリーズのプロセッサーを選ぶか」がNPUの性能を大きく左右します。
なお、現在は以下のプロセッサーメーカーがNPU搭載モデルを次々と市場に投入しています。

  • Intel社:「Core Ultra」シリーズ
  • AMD社:「Ryzen AI」シリーズ
  • Qualcomm社:「Snapdragon X」シリーズ

上記のプロセッサーはそれぞれ独自の設計思想に基づいてNPUを開発しており、得意な処理や電力効率などに違いがあります。PCを選定する際は「どのプロセッサーが採用されているか」を必ず確認し、それぞれの特徴を比較検討しましょう。

【ポイント②】TOPS(性能指標)

次に、NPUの性能を具体的に比較するための指標であるTOPSを確認しましょう。TOPSとは「Tera Operations Per Second」の略で、1秒間に何兆回のAI演算ができるかを示す数値です。TOPSの数値が大きければ大きいほど、AI処理能力が高いことを意味します。
例えば、Microsoft社のNPU搭載PC「Copilot+PC」ではNPU単体で40TOPS以上の性能を持つことが認定要件とされています。PCのスペック表を確認する際にはTOPSの値をチェックし、想定している業務に対して十分な性能を持っているかを見極めましょう。

【ポイント③】ソフトウェアの対応状況

NPU搭載PCが、使用予定のソフトウェアに対応しているかも確認しておきましょう。どれだけ高性能なNPU搭載PCを導入しても、実際に使用するソフトウェアが対応していなければ意味がありません。PCを選定する際には、具体的に以下の点を確認しましょう。

  • WindowsのCopilot+PCなど、OSレベルでNPUが活用される仕組みが整っているか
  • 普段の業務で必須となっているソフトウェアがNPUによる高速化に対応しているか、あるいは今後の対応予定が発表されているか

現在、OSレベルではMicrosoft社のWindowsが「Copilot+PC」を通じてNPUの動作に対応しています。また、Adobe社の画像・動画編集ソフトや各種Web会議ツールなども、続々とNPUに対応したバージョンをリリースし始めています。
「思ったほどAI機能で業務が効率化されない」などの事態を避けるためにも、TOPSとソフトウェアの対応状況は必ずセットで確認しましょう。

NPU搭載PCを導入する際の注意点

ここでは、NPU搭載PCを導入する際の注意点を3つ紹介します。

初期導入コストが高い

最新のテクノロジーであるNPUを搭載したPCは、同等の基本性能を持つ従来型のPCと比較して、初期の購入費用が高くなる傾向があります。高性能なプロセッサーの開発・製造コストが、価格として反映されているためです。
しかし、NPUがもたらす業務効率化は従業員の労働時間を削減し、結果として人件費の圧縮につなげられます。また、優れた省電力性能は日々の電気代を低減させられる点もメリットです。目先の価格だけでなく、長期的なリターンを含めた投資対効果の観点から導入の可否を判断しましょう。

古いアプリは起動できない可能性がある

業務で利用しているアプリとの互換性には注意が必要です。NPU搭載PCでは、従来のPC向けに開発された古いアプリや特殊な業務用ソフトがそのままでは正常に動作しない可能性があります。
OSには互換性を保つための仕組みが備わっていますが、全アプリの動作を保証するものではなくパフォーマンスが低下するケースも考えられます。導入を検討する際は情報システム部門と連携し、業務に不可欠なアプリが問題なく動作するかを事前に確認しましょう。

NPUの性能を生かせるアプリが少ない

NPUは比較的新しいハードウェアのため、能力を最大限に引き出せるよう最適化されたアプリは少ないのが実情です。しかし、現状は非常に速いスピードで変わりつつあります。
MicrosoftやAdobe、Googleなどの主要ソフトウェアベンダーはNPUへの対応を急ピッチで進めています。そのため、対応アプリは今後、加速度的に増えていく予想です。
現時点でのNPU搭載PC導入は、1〜2年後には当たり前になるであろう「AIが業務に溶け込んだ働き方」への先行投資と捉えられます。将来のスタンダードを見据え、計画的に導入を進めることが企業の競争力を未来にわたって高める鍵です。

NPU搭載PCを導入する際はレンタルでのスモールスタートがおすすめ

NPU搭載PCのメリットを理解したものの、「いきなり全社的に導入するには、初期コストを考えるとハードルが高い」と感じられている方も多いでしょう。上記のような費用面の懸念がある場合は、レンタルサービスを活用したNPU搭載PCの導入がおすすめです。レンタルでNPU搭載PCを導入すると、以下のようなメリットが存在します。

  • 月額費用で最新のNPU搭載PCを利用できるため、予算のハードルを大きく下げられる
  • 「本当に業務効率は上がるのか」「普段使っている業務アプリは問題なく動作するのか」といった点を実際の業務のなかで具体的に検証できる
  • 常に最新のNPU搭載PCを使用できるため、陳腐化のリスクを回避して最適な業務環境を維持できる

法人向けPCレンタルで豊富な実績を持つテクノレントでは、最新のNPU搭載PCをいち早く、そして手軽に試すことが可能です。なかでも、NPU搭載PCの導入を検討される企業に最適な1台が「HP EliteBook 635 Aero G11(Ryzen 5/16G)」です。

上記のモデルは、AMD社の最新プロセッサー「Ryze 5」を搭載し、AI処理を専門に行う「Ryzen AI」が組み込まれています。そのため、Windows Studio EffectsなどのAI機能を活用した高品質なWeb会議や、後の登場が期待されるさまざまなAIアプリを快適に動作させられます。
メモリは16GBとビジネスユースには十分な容量を確保し、約0.99kgという軽量設計は場所を選ばない現代の働き方に最適です。本格導入の前に、まずは一部の部署でレンタルPCを使用して導入効果を確かめてみてはいかがでしょうか。

NPU搭載PCを活用して業務効率化を図ろう

本記事では、NPUについてCPUとGPUとの違いからビジネスにおける具体的なメリットなどを網羅的に解説しました。NPUはWeb会議の質の向上やクリエイティブ作業の高速化など、あらゆる部門の業務効率を飛躍的に高める可能性を秘めています。NPU搭載PCを活用すれば、従業員は単純作業から解放され、より付加価値の高い仕事に集中できる環境が整うでしょう。
もちろん、導入には初期コストや互換性などの課題もあります。しかし、レンタルサービスを活用したスモールスタートによって、リスクを抑えながら実際の業務における効果の検証が可能です。NPU搭載PCを活用して、自社の業務効率化を図りましょう。