LCMサービスとは?メリット・デメリット・選び方を徹底解説

LCMサービスとは?メリット・デメリット・選び方を徹底解説

PCの管理や社員からの急なトラブル対応の依頼など、日々の運用業務に多くの時間を費やしている情報システム部門の担当者も多いでしょう。一見バラバラに見える業務は、すべてIT資産のライフサイクルマネジメントの流れの中にあります。
LCMサービスを活用すれば、IT資産のライフサイクルマネジメントにかかる手間の大幅な削減が可能です。
本記事では、LCMサービスについてメリット・デメリットから最適なサービスの選び方までを解説します。本記事を読めば、LCMサービスの概要を理解してスムーズに導入できます。LCMサービスを活用し、情報システム部門におけるより付加価値の高い業務へリソースを注ぎましょう。

LCM(ライフサイクルマネジメント)とは

LCMとは製品やサービスが生まれてから役目を終えるまでの一連の流れであるライフサイクルを管理し、価値を最大化するための経営手法です。英語の「Life Cycle Management」の頭文字を取って、LCMと呼ばれています。

ライフサイクルは商品・サービスだけでなく、PCのようなIT資産にも以下のように存在します。

  1. 企画・調達:どの機種を何台、いつまでに必要か計画し、購入するかを決める
  2. 導入・展開:業務に必要な設定を行い、各従業員に配布する
  3. 運用・保守:問い合わせ対応やトラブルシューティング、修理などを行い
  4. 更新・廃棄:古くなったPCのデータを安全に消去し、適切に廃棄またはリプレースします。

このように、IT資産の企画から廃棄までを最適化し、管理していく考え方がLCMです。

IT資産におけるライフサイクルマネジメントの重要性

結論から言うと、計画的なIT資産の管理は企業の競争力を維持・強化するために不可欠です。PCやサーバーは、一度導入すれば終わりではありません。日々の運用や定期的なメンテナンス、そして数年後の廃棄に至るまで多くの管理工程が存在します。

これらの管理が後手に回ると、日々の業務でさまざまな問題が生じてきます。たとえば、古いPCを使い続けると処理速度の低下による生産性の悪化や故障頻度の増加による修理費の増大を招きます。

セキュリティ面においてもサポートが終了したOSやソフトウェアを使い続けると、ウイルス感染や情報漏洩など、重大なインシデントに直結する可能性があります。そのため、IT資産のライフサイクル全体を適切に管理し、上記のような課題を解決して日々の業務を円滑に回す必要があります。

LCMサービスとは|定義・サービス内容を解説

LCMサービスとは、IT資産のライフサイクル全体に関わる一連の業務を専門の事業者が代行・支援するサービスです。LCMサービスの内容は多岐にわたりますが、主に以下のようなサポートを包括して提供します。

  • 最適なPCの機種選定や調達計画の策定を支援
  • OS・業務アプリケーションのインストールなどの初期設定の代行
  • 従業員からの問い合わせに対応するヘルプデスク業務
  • 故障した際の修理・代替機手配
  • 最適なタイミングでPCの入れ替えを実施
  • PCの廃棄・リサイクル処理

上記のように、LCMサービスはPCの導入から廃棄までの一貫した流れを専門家の視点で最適化し、管理業務全体の負担を軽減するサービスです。

LCMサービスを導入するメリット

LCMサービスを導入するメリットとして、主に以下の5つが挙げられます。

  1. 本来のコア業務にリソースを集中できる
  2. 所有コストの削減と可視化が可能
  3. セキュリティ強化とコンプライアンス遵守につながる
  4. IT資産管理の標準化と業務効率化を図れる
  5. 常に最新・最適なIT環境を維持できる

生産性の向上に大きく寄与するため、PCの管理業務に煩わしさを感じている企業はLCMサービスを導入しましょう。

1:本来のコア業務にリソースを集中できる

LCMサービスのメリットは、情報システム部門のリソースをより付加価値の高い業務に集中させられる点です。PCの初期設定やヘルプデスク対応、トラブルからの復旧作業などは事業を支える上で不可欠ですが、多くの時間を要する定型的な業務でもあります。これらの作業に追われれば、企業のDX推進や新たなIT戦略の立案など本来取り組むべき未来への投資が後回しになります。

LCMサービスを活用すれば、PCの運用・保守業務の大部分を専門家へ一任でき、業務時間の大幅な削減が可能です。たとえば、PC100台の入れ替えに200時間かかっていたとすれば、当該時間を丸ごとほかの重要な業務に充てられます。

2:所有コストの削減と可視化が可能

LCMサービスは、IT資産に関わるコストの削減と可視化を実現できる点がメリットです。PCを所有するコストは、単純な購入費用だけではありません。設定作業にかかる人件費、故障時の修理費用、廃棄時の処理費用などの目立たないコストが数多く存在します。こうしたコストは予算化しにくく、管理が煩雑になりがちです。

LCMサービスは月額費用などの分かりやすい料金体系で提供されるケースが多く、今まで変動費として発生していた各種コストを固定費化できます。そのため、IT資産に関する予算計画が非常に立てやすくなります。

また、サービス事業者がもつスケールメリットにより、PC本体の調達コストやレンタル費用が抑えられるケースも少なくありません。結果として、PC本体を購入して管理するよりもトータルコストの削減につなげられます。

3:セキュリティ強化とコンプライアンス遵守につながる

LCMサービスの利用によるPCの一貫した管理は、企業のセキュリティ強化とコンプライアンス遵守にもつながります。LCMサービスを提供する事業者は、PCのセキュリティ面に精通する専門家でもあるためです。

LCMサービスを利用すれば、OS・ソフトウェアの更新プログラムを日々適用してくれるため、常に最新のセキュリティ対策ができます。また、資産の廃棄時には情報漏洩を防ぐための高度なデータ消去を確実に行い、データ消去証明書の発行も可能です。

これにより、サポートが切れたOSを使い続けるといった危険な状態を未然に防ぎ、IT資産のライフサイクル全体を通じて一貫したセキュリティポリシーを適用できます。そのため、企業はセキュリティ面の不安がなく安心して事業に集中でき、コンプライアンス遵守した経営が可能です。

4:IT資産管理の標準化と業務効率化を図れる

社内のIT資産管理プロセスを標準化し、業務全体の効率を大きく改善できる点も見逃せないメリットです。LCMサービスを導入するとPCの選定基準から管理・運用ルール、廃棄に至るまで専門家が確立した最適なワークフローが適用されます。

誰が担当しても常に同じ品質でIT資産が管理されるため、業務の属人化が解消されて無駄やミスが減少する点が魅力です。また、PCの管理基準が標準化されると各工程での確認作業も減り、情報システム部門全体の業務効率化にも直結します。

5:常に最新・最適なIT環境を維持できる

LCMサービスは、従業員が常に最高のパフォーマンスを発揮できるIT環境の維持に貢献します。PCの性能は、従業員の生産性に直接的な影響を与えます。「PCの動作が遅くて仕事が進まない」といった状況は、従業員のモチベーション低下を招くだけでなく企業全体の生産性を損なう要因です。

また、LCMサービスではあらかじめ策定した計画に基づき、定期的なPCの入れ替えが実行されます。そのため、従業員は常に業務内容に適した最新のPC環境で作業できる点がメリットです。故障や不具合が減るだけでなく快適な作業環境が維持されれば、従業員の満足度向上にもつながります。

LCMサービスのデメリットと対策

LCMサービスのデメリットとして、以下の3点が挙げられます。

  • アウトソーシングのコストが発生する
  • 自社に資産管理のノウハウが蓄積されにくい
  • サービス内容と自社のニーズが合わない可能性がある

各デメリットへの対処法も解説するため、事前に対策を講じておきましょう。

1:アウトソーシングのコストが発生する

当然ながらLCMサービスを利用するためには、アウトソーシング費用が発生する点に注意が必要です。社内の人件費などとは異なり、毎月あるいは年間のサービス利用料として明確なコストが計上されます。LCMサービスの費用を純粋なコスト増と捉えてしまうと、導入へのハードルが高くなります。

上記の課題に対しては、コストを多角的に評価する視点をもつことが重要です。LCMサービスの費用と、自社でPCを管理・運用した場合のコストを含めた所有コストを比較検討してみてください。たとえば、自社でPCを運用管理する場合、購入費用以外にも以下のようなコストが発生します。

  • PCのセットアップやトラブル対応に費やす人件費
  • 突発的な修理費用

上記の総額を試算してみると、LCMサービスを利用したほうがトータルコストの削減につながるケースは少なくありません。LCMサービスを利用する際は、目先のコストだけでなく費用対効果を総合的に判断しましょう。

2:自社に資産管理のノウハウが蓄積されにくい

IT資産管理に関わる一連の業務を外部に委託すると、関連する実務的なノウハウが社内に蓄積されにくい点がデメリットです。すべてを専門業者に任せきりにすると、将来的に自社で管理体制を再構築しようとした際に知見のある人材がいない事態に陥るおそれがあります。

そのため、LCMサービスを利用する際は単に業務を丸投げするのではなく、ともにIT戦略を推進するパートナーとして連携する意識を持ちましょう。

定期的なミーティングの場を設けて提出されるレポートの内容を精査し、改善提案を求めるなど積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。アドバイスを引き出して自社のIT戦略に活かせば、高度なPCの管理ノウハウを自社に蓄積できます。

3:サービス内容と自社のニーズが合わない可能性がある

提供されるLCMサービスのパッケージが、必ずしも自社のニーズに完璧に合致するとは限りません。たとえば、「従業員からの問い合わせは自社で対応したいが、初期設定と廃棄だけを任せたい」と考えているとしましょう。LCMサービスで上記作業をすべて含めたセットプランしか提供されていない場合、不要なサービスにまでコストを支払うことになりかねません。

そのため、導入のミスマッチを防ぐためには事前の要件定義と柔軟にサービスを提供できる事業者の選定が重要です。まずは、「何をアウトソーシングしたいのか」「絶対に譲れない条件は何か」など自社のニーズを明確に洗い出しましょう。その上で、複数のLCMサービス事業者を比較検討し、サービス内容を柔軟にカスタマイズできるかを確認します。

LCMサービスを選ぶための比較ポイント

LCMサービスを選ぶための比較ポイントとして、以下の5つが挙げられます。

  1. サービスの対応範囲は自社の課題に合っているか
  2. 自社と同じ業種・規模の企業への導入実績があるか
  3. 信頼できるセキュリティ体制か
  4. 自社の成長や事業内容の変化へ柔軟に対応できるか
  5. サポート体制は充実しているか

上記のポイントを確認し、自社の業務環境にあったLCMサービスを選びましょう。

1:サービスの対応範囲は自社の課題に合っているか

LCMサービスを選ぶポイントは、「自社の抱える課題を的確に解決してくれるか」です。まずは以下のように現状のPC管理における課題を洗い出し、優先順位をつけてみましょう。

  • PCの初期設定作業に工数が取られすぎている
  • 全国の拠点へのPC展開や入れ替え作業の管理が煩雑になっている
  • 従業員からの問い合わせ対応が業務を圧迫している
  • 古いPCの廃棄プロセスが確立されておらずセキュリティに不安がある

自社の課題が明確になったら、当該分野に強みを持つLCMサービスの事業者を探します。

2:自社と同じ業種・規模の企業への導入実績があるか

「自社と近い業種や事業規模の企業への導入実績があるか」に関しても、LCMサービスを選ぶポイントです。たとえば、以下のように業界によってPC管理に求められる要件が大きく異なります。

  • 厳しいセキュリティやコンプライアンスが求められる金融・医療業界
  • クリエイティブなソフトウェアを多用する制作会社

また、従業員100名の企業と5,000名の企業とでは、管理のオペレーションもまったく違います。自社と同じ業種の導入実績が豊富な事業者は業界特有の課題や商習慣への理解が深く、スムーズなコミュニケーションが期待できます。

Webサイトの導入事例を確認したり、商談の際に直接質問したりして自社の状況に似た企業でのサポート経験をもっているかを確認しましょう。

3:信頼できるセキュリティ体制か

IT資産は企業の重要情報に触れるため、LCMサービスのセキュリティ体制は決して妥協できないポイントです。アウトソーシングによって、かえってセキュリティリスクを高めるような事態があっては本末転倒です。以下の点などを基準に、事業者のセキュリティレベルに問題がないか確認しましょう。

  • ISO 27001(ISMS)やプライバシーマークなどを取得しているか
  • PCの保管や初期設定作業を行うセンターの入退室管理など物理的なセキュリティ対策は万全か
  • データ消去の具体的な方法や作業完了を証明する書類の発行プロセスは明確か

信頼できるLCMサービス事業者であれば、上記の問いに対して誠実かつ具体的に回答してくれるはずです。

4:自社の成長や事業内容の変化へ柔軟に対応できるか

企業の成長や事業の変化に対して、柔軟に対応してくれる事業者かどうかも見極めましょう。現在は100台のPC管理でも、数年後には事業が拡大して従業員が倍増するかもしれません。そのため、LCMサービスを契約する前に以下のような将来的な状況の変更に関する項目を確認しておきましょう。

  • 管理台数が増加した場合の料金体系やサポート体制はどうなるか
  • サービス内容の一部を途中で変更することは可能か

5:サポート体制は充実しているか

最後に、万が一のトラブルが発生した際のサポート体制も必ず確認してください。いざというときのサポート対応が遅かったり、問い合わせ窓口が分かりにくかったりすると現場が混乱して業務に支障をきたします。具体的にはLCMサービスのサポート体制に関して、以下のポイントを確認しましょう。

  • 電話・メールなどサポート窓口への問い合わせ手段は何か
  • サポート対応は自社の業務時間に対応しているか
  • 問い合わせへの応答時間などサポートの質はどの程度か

まとめ

PCの調達や設定、日々のトラブル対応に追われている場合、IT資産のライフサイクルを丸ごと管理してくれるLCMサービスがおすすめです。LCMサービスではPCの選定・導入から運用・保守、廃棄までを一括で専門家が代行します。そのため、情報システム部門の担当者はDX促進など本来注力すべき業務にリソースを集中しやすくなります。

LCMサービスを利用すれば、コスト削減やセキュリティ強化が期待できるほか、従業員は常に最適なPC環境で働けるため、生産性の向上にもつながります。自社の課題に合った信頼できるLCMサービスを選び、煩雑なPC管理から解放されましょう。

また、IT資産の管理手法としてPCレンタルを取り入れるのも非常に有効です。中でも、テクノレントが提供するPCのレンタルサービスはLCMの観点から多くの強みを持っています。テクノレントのレンタルサービスは最短1日から長期まで柔軟にレンタル期間を設定できるため、急な増員にも対応が可能です。

さらに、有償オプションで煩雑な初期設定作業を依頼でき、納品後すぐに業務を開始できる状態で手元に届きます。返却時には確実なデータ消去も実施してくれるため、セキュリティ面でも安心です。

PCの管理・運用に大きな手間を感じている場合は、テクノレントのレンタルサービスもぜひ検討してください。