スマートグラスは「単なるメガネ」ではなく視界に情報を重ねて表示することで、手を使わずに作業効率や安全性を大きく向上させる次世代のツールです。リモート作業の支援やハンズフリー通話など、ビジネスの現場においてもスマートグラスの活用シーンは急拡大しています。
本記事では、スマートグラスの特徴やビジネスシーンにおけるメリット、選び方についてわかりやすく解説します。
スマートグラスとはメガネ形状のウェアラブルデバイス

スマートグラスとは、一般的なメガネの形をしたウェアラブルデバイス(顔や体に装着して使用する端末)です。レンズ部分に内蔵されたディスプレイにデジタル情報を映し出して、実際に見ている光景に重ねられるため、スマートフォンなどの端末を取り出す必要なくテキストやメッセージの通知などをリアルタイムで表示できます。また、スマートグラスにはスピーカー、マイク、カメラなどが搭載されており、音声操作や写真・動画撮影も可能です。レットには主に2つの通信方式があります。「モバイル通信タイプ」と「Wi-Fiモデル」です。それぞれの通信方式について見ていきましょう。
スマートグラスとARグラスの違い
スマートグラスは、レンズのディスプレイにテキストを表示したり、内蔵されたカメラで写真を撮ったりできるなど、幅広い機能があります。一方のARグラスは、AR(拡張現実)に特化したスマートグラスの一種で、現実世界にナビゲーションや3Dオブジェクトなどの情報を重ねて表示(オーバーレイ)し、高度な情報の可視化を実現するデバイスです。スマートグラスが汎用的なデバイスであるのに対し、ARグラスは限定的な用途に特化したデバイスという点で違いがあります。しかし、近年ではスマートグラス≒ARグラスとして、厳密には区別せずに呼称する場合が多いです。
スマートグラスの主な使い方

スマートグラスの主な使い方として、以下の5つが挙げられます。
- AR情報をスマートグラスで表示
- 写真・動画撮影
- ハンズフリー通話
- ナビゲーション機能
- 遠隔地への映像共有
AR情報をスマートグラスで表示
スマートグラスの最大の強みは、視線を動かすことなくリアルタイムでAR情報を確認できる点です。例えば、製造業では、作業を行いながら部品の組み立て手順や安全指示をスマートグラス上で確認でき、業務効率や安全性向上に寄与します。
写真・動画撮影
スマートグラスは、内蔵カメラを用いてユーザーの視点をそのままに、写真や動画を撮影できます。従来のスマホ撮影では手がふさがる場面でも、スマートグラスなら撮影の瞬間を逃さずに残せるのが魅力です。先述の製造業を例に挙げると、現場での作業工程を写真や動画撮影して記録できるため、熟練者の作業を教材として残すことができ、現場教育を効率的に行えます。
ハンズフリー通話
スピーカーやマイクを内蔵したスマートグラスは、ハンズフリー通話が可能です。スマートフォンを取り出さずに受電や架電が可能なため、作業中や運転中といった手が離せないシーンでも、迅速に対応できるのが特徴です。
ナビゲーション機能
スマートグラスには、歩行や運転中にナビゲーション情報を視線の先で表示する機能が搭載されているモデルもあります。スマートフォンの地図アプリなどを見る手間を省けるので、目的地までスムーズにたどり着くことができます。
遠隔地への映像共有
スマートグラスは、遠隔地にいる相手に映像を送ることで視界を共有できるため、製造業や医療分野でのリモート支援に効果的です。例えば、技術者が現場で作業しながら遠隔地にいる人にリアルタイムで映像を送り、その場で指示や指導を受けるという使い方が可能です。現地での電話指示では伝わりにくい細かなニュアンスも映像で共有すると理解が深まり、トラブル対応も効率化されます。
ビジネスシーンにおけるスマートグラスのメリット

ビジネスシーンにおけるスマートグラスのメリットは、主に以下の4つです。
- 遠隔作業支援で生産性向上を図れる
- 教育・研修を効率的に実施できる
- 人件費などのコスト削減ができる
- トラブルへの迅速な対応が可能になる
遠隔作業支援で生産性向上を図れる
スマートグラスを活用した遠隔作業支援は、専門家が現場に赴かなくてもリアルタイムで視界を共有しながら指示を出せるため、生産性向上に寄与します。また、両手を塞がずに情報共有が可能になるため、作業ミスや事故のリスクが低減し、現場作業員の安全面を担保しやすい点も魅力です。
教育・研修を効率的に実施できる
スマートグラスは、教育・研修においても大きな効果を発揮します。作業マニュアルや研修映像をディスプレイに表示して確認できるため、紙媒体の資料を読んだり、座学を受けたりする時間を短縮でき、効率的に作業を実施できます。また、熟練者の作業を記録して教材化も可能であり、知識・技能の習得がスムーズになる点も大きなメリットです。
人件費などのコスト削減ができる
人件費などのコスト削減ができる点も、スマートグラス導入による利点です。スマートグラスを活用すれば遠隔支援やリモート研修が可能になるため、専門家・講師の出張コストや時間を大幅に削減できます。現地対応にかかる時間をほかの業務に振り分けられるため、組織全体としての生産性が向上するでしょう。また、作業品質が改善されるため、手戻りや不良品の発生率が低減し、再作業コストの削減や顧客満足度の向上にも期待できます。
トラブルへの迅速な対応が可能になる
業務中に発生するトラブルに対して迅速かつ的確に対応できるようになります。現場で異常が発生した際、リアルタイムのカメラ映像と音声通信で専門家が即時対応にあたり、原因究明と修復手順の指示が行えます。トラブルに対して迅速に対応できれば、設備などの停止時間を短縮でき、損失をおさえることができます。
スマートグラスを選ぶ際にチェックすべきポイント

スマートグラスを選ぶ際にチェックすべきポイントとして、以下の3点があげられます。それぞれのポイントを確認し、自社の業務環境にあったスマートグラスを選びましょう。
- 目的や用途と性能の合致
- スマホ・タブレットなどのOSへの対応
- 装着感などの使いやすさ
目的や用途と性能の合致
スマートグラスを選ぶ際、重要なのは目的や用途に適した性能が備わっているかどうかです。例えば、現場作業の遠隔支援で用いるなど画像の視認性を重視する場合は、解像度やリフレッシュレート、視野角などの性能が重要になります。長時間業務での連続使用を想定している場合は、スマートグラスのバッテリー持ちもチェックしておきたいところです。
スマホ・タブレットなどのOSへの対応
スマートグラスは手元のスマホやタブレットと連携しながら使うのが前提であるため、対応するOSの確認は重要です。多くの製品はiOS・Androidの両方に対応していますが、最低限のバージョン要件が設けられています。スマホ・タブレットが古い機種の場合、最新のスマートグラスに上手く連携できないなどの事態も発生するため注意が必要です。また、機種によっては完全に独立して機能するスマートグラスもあり、スマホ・タブレットと連携できないケースもあります。スマートグラスを選ぶ際は普段社内で使用しているスマホ・タブレットのOSと連携できるか、互換性を確認しておきましょう。
装着感などの使いやすさ
装着感などの使いやすさも、スマートグラスを選ぶ際にチェックしておきたいポイントです。スマートグラスは顔に常時装着するデバイスであるため、フィット感が薄いと使い続けるのが困難になります。可能であれば希望のスマートグラスを試着し、重量やノーズパッドの調整幅、耳へのあたり具合などを確認しておきましょう。
スマートグラスの活用事例
スマートグラスの活用事例として、以下の3つを紹介します。
- リモートワーク・遠隔地での作業支援
- マニュアルを表示して業務効率化
- 整備・保守点検業務の精度向上
上記の事例を参考に、自社の業務課題解決につながる形でスマートグラスを導入しましょう。
遠隔地での作業支援
遠隔地での作業支援は、スマートグラスを活用しやすい分野です。スマートグラスは、現地に人を派遣せずとも「その場の視界」をリアルタイムに共有できるため、遠隔地からスマートグラスで撮影した写真や映像を確認すれば、口頭の説明や指示のみで作業を完了させることができます。
マニュアルを表示して業務効率化
スマートグラスにマニュアルや作業指示をAR表示すれば、現場の作業効率が大幅に向上します。例えば、部品の取り付け手順や点検ポイントを眼前に映し出しながら手元で作業できるため、紙のマニュアルを読むよりも効率的です。倉庫作業においても、ピッキング手順をARで目の前に提示すると正確さとスピードが同時に向上します。
整備・保守点検業務の精度向上
整備・保守といった業務ではスマートグラスを用いたAR支援により、作業精度と速度の向上が期待できます。現場作業者は視界に表示された情報を確認しながら作業できるため、部品の識別ミスや手順の取り違えなどが減少します。点検対象箇所にセンサー値やチェック項目がリアルタイムに表示されれば、作業漏れを防止し、作業完了率の向上につながるでしょう。また、異常を検知した際にその場で映像を共有し専門家からアドバイスを受けられるため、対応速度も高まります。
両手を塞がないため、高所作業や精密点検など危険を伴う作業においても安心して作業を続けられる点もメリットです。
スマートグラスを活用して業務効率化を図ろう
スマートグラスは、現実の視界に情報を重ねて表示する次世代のウェアラブルデバイスです。ビジネス・日常の両面で活用が広がっています。遠隔支援やスマートグラス上でのマニュアル表示によって業務効率が向上し、整備・点検業務では作業の精度や安全性を高める効果も期待できます。
また、教育や研修の場では学習時間の短縮と習熟度向上を両立し、人件費や移動コストなどの削減にも寄与するでしょう。スマートグラスを選ぶ際は目的や用途に適した性能のほか、対応OS、装着感などの実用性の確認が重要です。自社にあったスマートグラスを導入し、業務の効率化につなげましょう。
テクノレントでは法人向けにスマートグラス「HMT-1」のレンタルサービスを提供しています。Microsoft Teamsと連携でき、スマートグラス「HMT-1」を利用すれば以下のように現場作業のDX化が可能です。
- 専用アプリケーションの連携で現場からオフィス側とWEB会議が可能
- 現場作業者のカメラ映像をもとに遠隔から作業を支援
- 写真や資料など、現場とオフィスの相互共有をリアルタイムで実施
現場作業を含めて自社の業務効率化を図りたい場合は、スマートグラス「HMT-1」のレンタルサービスをぜひ検討してください。
レンタルに関する詳細は、下記のバナーをクリックして、紹介ページよりご確認ください。