テレワークの勤怠管理方法。勤怠管理のポイントと併せて解説

テレワークの勤怠管理方法。勤怠管理のポイントと併せて解説

今や、多くの企業がテレワークを導入しています。テレワークは企業にも従業員にもメリットがありますが、勤怠管理の難しさに悩んでいる企業は少なくないでしょう。

テレワークは、オフィス勤務のようにタイムカードの打刻ができないため、遠隔でも出退勤時刻を記録できる勤怠管理方法を導入する必要があります。本記事では、テレワークでの勤怠管理の方法やポイントについて解説します。

テレワークでの勤怠管理の必要性

勤怠管理とは、従業員の出退勤時刻や欠勤、遅刻、休日取得などの就業状況を把握し、法令や就業規則に準ずる働き方ができているかを管理することです。オフィス勤務でも勤怠管理は必要ですが、管理の目が届かないテレワークでは、適切な勤怠管理がより重要といえます。

労働時間の把握は企業の義務

企業には、従業員の労働時間を客観的に把握することが義務付けられています。平成29年に厚生労働省が策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によると、使用者は労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録することが必要とされています。
原則的な方法は、「使用者が自ら現認して確認すること」「タイムカード、ICカード、パソコンなどの使用時間を記録し、これらの客観的な記録を基に確認し、適正に記録すること」です。
やむをえず自己申告制で労働時間を把握する場合は、適正な運用のガイドラインに基づく措置などについて、十分な説明が必要とされています。
自己申告の労働時間とパソコンの使用時間などから把握した時間が大きく異なる場合、実態の調査が必要です。使用者は、自己申告できる時間の上限を設けるなどして適正な自己申告を阻害してはいけません。

【参考】厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

企業は労働時間を適切に管理する必要がある

テレワークは管理者が届かないため、怠ける人が出てくる可能性があります。反対に、働きすぎて長時間労働になる恐れもあります。自宅が職場になるため、仕事とプライベートの区別がつきにくくなり、労働時間が超過するケースが少なくありません。

長時間労働を見逃してしまうと、仕事の生産性が低下するだけでなく、過度な労働によって健康を害することもあります。

テレワークを導入する企業は、適切な勤怠管理を行い、長時間労働になっている場合は働き方を見直す必要があります。

テレワークでの勤怠管理のポイント

テレワークにおける勤怠管理のポイントは、次の3つです。それぞれ詳しく見てみましょう。

1. 勤務時間を正しく把握する

勤怠管理の方法を決めるときは、労働時間を正しく把握できる方法を選びましょう。従業員にとっても管理者にとっても負担がなく、集計しやすい方法を選ぶことが大切です。

2. 勤怠状況の報告方法を周知しておく

始業時刻や終業時刻、遅刻、欠勤など、テレワークでの勤怠状況をどのように報告するかあらかじめ決め、従業員に報告方法を周知しておきましょう。
イレギュラーが発生したときに正しく対応できるよう、勤怠ルールを明確にして、いつでも確認できるようにマニュアルを作っておくことを推奨します。

3. 中抜けの規定を定めておく

中抜けとは、休憩時間以外に私用で長時間離席することです。例として、子どもの学校行事や通院、市区町村役場での用事などが挙げられます。何らかの事情があって従業員が中抜けした場合、企業側から終業時刻を繰り下げてほしいといった一方的な依頼はできません。中抜けを休憩時間として扱い、終業時刻を繰り下げる場合は、始業・終業時刻の変更が行われることを就業規則に記載しておく必要があります。時間単位の年次有給休暇として取り扱う場合は労使協定の締結が必要です。

テレワークの勤怠管理方法

テレワークの主な勤怠管理方法を4つご紹介します。勤怠管理は煩雑になりやすいため、できるだけ管理システムを使用することがオススメです。

1. 電話で連絡する

テレワークを行う従業員が始業前と終業後に直属の上司などに電話して、始業時間・終業時間の報告を入れる方法です。この方法は特別なツールが必要ないため、導入コストを抑えられます。
テレワークはコミュニケーション不足になりがちですが、毎日電話での連絡があれば、業務の進捗状況の報告や相談などもしやすいでしょう。しかし、電話連絡は1対1でコミュニケーションを取らなくてはならないため、従業員の人数が多いと時間や手間がかかります。
また、言葉での報告は記録が残らないため、聞き間違いなどによるトラブルが発生することも考えられます。加えて、報告を忘れている従業員がいればその都度確認が必要になるため、管理者の負担増になる懸念もあります。したがって、電話での勤怠管理は、比較的少人数の企業に向いている方法といえるでしょう。

2. メールで連絡する

始業時と終業時にメールで連絡する方法です。電話とは異なり、毎日の勤怠状況を記録に残せることがメリットといえます。
しかし、管理者は毎日メールをチェックして転記し、集計する手間がかかります。人的ミスが発生するリスクもあるので、従業員数が多い職場では負担になるでしょう。

3. Excelなどを使って従業員が自己申告する

Excelやスプレッドシートなどで勤怠管理用のシートを作成し、従業員が勤務時間や作業時間を入力して自己申告する方法です。導入コストを抑えられる上に、データの集計も容易です。メールや電話で連絡する必要がないため、管理者のの負担を軽減できるでしょう。
ただし、従業員が自分でシートに入力するため、申告漏れや入力ミスが発生する恐れがあります。入力内容の正誤の判断が難しいので、虚偽の申請(意図しない場合を含む)でも気づかない場合が多いです。

4. 勤怠管理システムを使用する

勤怠管理システムを導入すると勤務時間の記録だけでなく休暇・残業の申請・承認、シフト設定など勤怠に関するさまざまな管理を行えます。導入コストはかかりますが、従業員の人数が多くても管理しやすいため、管理者の負担を大幅に減らせるでしょう。
勤怠管理システムの導入には、主に以下のようなメリットがあります。

時刻を手入力しなくてよいため不正打刻が発生しない

テレワークで勤怠管理システムを使用すると、時刻を手入力しなくても所定ボタンのクリックなどで打刻できます。従業員の手間を省き、入力ミスを発生させにくくするメリットがあります。また、生体認証システムが搭載されている勤怠管理システムであれば本人以外は打刻できないため、不正打刻を防ぐことも可能です。

正確に集計できるため給与計算のミスが起こらない

集計は自動で行われるため、正確に集計できて給与計算のミスが起こりません。

リアルタイムで集計できるので現在の勤怠状況を把握できる

打刻した情報はリアルタイムで集計できるので、現在の勤怠状況を把握できます。

クラウド型は法令に沿って自動でアップデートが行われる

クラウド型の勤怠管理システムであれば、法改正の際に自動でアップデートできる製品もあるため、担当者の負担を軽減しながら法令違反のリスクを抑えられます。

まとめ

テレワークの主な勤怠管理方法には「電話やメールで報告」「Excelなどで自己申告」「勤怠管理システムの導入」があります。それぞれメリット・デメリットがありますが、効率よく勤怠管理するには、勤怠管理システムの導入がオススメです。フレックスタイム制を導入している場合は、多様な勤務形態に対応した勤怠管理システムを選びましょう。
テレワークはオンとオフの区別をつけにくく、長時間労働になるケースがあります。勤怠管理システムを導入すれば勤務時間をリアルタイムで確認できるため、過剰な残業を抑止できるでしょう。
一定以上の残業時間になるとアラート通知する機能がついたものもあります。テレワークの勤怠管理に悩んでいる方は、勤怠管理システムの導入を検討してはいかがでしょうか。